Amazonの「メディア価値」に気づいたエージェンシーたち:「Amazonはすでにメディアの巨人だ」 – DIGIDAY[日本版]

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イギリスの最大手広告代理店WPPグループのトップに立つ、マーティン・ソレル氏は、Amazonを「部屋のなかのゾウ(elephant in the room:「見て見ぬふりをしている話題」という意味の慣用句)」と表現した。これは、クライアントに対してAmazonに特化したサービスを本格的に展開しようと考えているエージェンシーにとって、またとないチャンスが来ていることを意味している。

その最近の事例のひとつが、WPPのポッシブル(Possible)とマインドシェア(Mindshare)とのコラボレーションだ。このふたつのエージェンシーが、Amazon提供サービスの運用におけるパートナーシップを結び、チャネル戦略や在庫管理からAmazonでのメディア戦略、広告入札に至るすべての仕事を協力して行うと発表したのは、6月末のことである。これは、WPPがAmazonに特化したコンサルタント企業、マーケットプレイス・イグニション(Marketplace Ignition)を買収してからわずか数カ月後のできごとだった。

ポッシブルの国際シニアバイスプレジテント(以下SVP)、フランク・コーチェナッシュ氏によると、この計画の一部を推し進めたのは「我々にAmazonでの展開における助言やサポートを依頼してきた」クライアントだ。「Amazonは小売店であることは間違いない。だが、たとえ『購入する』ボタンがなくても、Amazonは世界最大規模の製品情報/レビューサイトであり、商品やショッピングに特化した検索エンジンとしても非常に大きな存在だ。ソーシャルのチャンネルとしても、ほとんどのブランドにとってAmazonはFacebookと同じぐらい重要だ。Amazonは物流業者であり、テクノロジースタックであり、製品やブランドのリサーチや立ち上げに最適な、そして、音声通話でホームショッピングを可能にする技術を持ったプラットフォームだ」。

Amazonのメディアとしての価値

Amazonのプラットフォームでは、エージェンシーはふたつの主なメディアサービスを活用できる。ひとつはAMS(Amazon Marketing Service)と呼ばれるマーケティングサービスで、有償のサーチメディアと似た、セルフサービス/DIY的なプラットフォームだ。クリック数に応じて金銭を支払う仕組みで、バイヤーは上限金額を設定できる。これは、基本的にはデジタルキャンペーンを管理するシステムであり、ブランドの広告が適切に露出されることを保証するものだ。もうひとつのサービスはAMG(Amazon Media Group)で、これは従来の広告スペースの購入と似たもので、その範囲はキンドル(Kindle)上での動画広告、スポンサー契約、ディスプレイ広告、そしてAmazonの配送車を使った屋外広告にまで及ぶ。

テネシー州のノックスビルに拠点を構えるアドエージェンシー、トンブラスグループ(The Tombras Group)はこの新しいAmazonのサービスを利用しているが、エグゼクティブバイスプレジデント(以下EVP)のドゥーレイ・トンブラス氏によると、大きな転換点はAMSにあったという。「売り上げは増えはじめ、Amazonでの広告費を上回る収益を得られるようになった。これは目の前の道がパッと開けたような、大きな変化だった」と、彼は語る。

2017年2月に提出されたAmazonの直近の歳入報告では、13億ドル(約1486億円)に及ぶ「その他」のおそらくデジタルアドによる歳入が計上された(それでも、Googleの800億ドル[約9兆1440億円]と比べれば小額である)。なお、これは2016年比で60%増となる。

GoogleやFacebookよりも安全

マーケットプレイス・イグニションから転職し、トンブラスでバイスプレジデント(以下VP)を務めるケビン・パックラー氏は、すべてはメディアだ、と語る。「我々は、Amazonをメディアプラットフォームとして見ている。そしてAmazonは、眠れる巨人ではない。すでに巨人なのだ」。

エージェンシーにとって、いまだにAmazonは神秘的な存在だ。サービスを立ち上げるべく動いているエージェンシーのトップの何人もが、小売だけでなく、メディア面でも、Amazonは恐ろしいほど秘密主義だと語っている。新たに結成されたマインドシェアとポッシブルのチームはそれを打ち破るべく、マーケティングの手法を実践し、ベンダーセントラル(Vendor Central)やAMS、Amazonの広告プラットフォーム、さらには第三者機関のツールを駆使して週/月/四半期ごとの報告書の作成している。

また、カスタマーレビューのデータにも目を向けている。コーチェナッシュ氏によると、クライアントは、GoogleやFacebookと比べて、Amazonはより「統制された」、安全なプラットフォームだという認識を持っているという。

「まったく新しいビジネスの在り方」

「これはまったく新しいビジネスの在り方だ」と、Amazonのサービスを実践するショッパー・マーケティングのエージェンシー、カタパルト(Catapult)でEVP兼グループディレクターを務めるブライアン・コーエン氏は語る。「Amazonはいくらかのデータを提供してくれるが、マーケターがこれまで分析してきたような類のデータではない」。トンブラスはこれをさらに簡潔に、「Googleアドワーズをランボルギーニだとすれば、これはノロノロと走るオートマ車だ」と表現する。たとえば、AMSでは、いまだに日ごとの予算をコントロールする手段がない。簡略化されすぎていて、Googleと比べると時代遅れなプラットフォームだ、とパックラー氏は語る。

いわば暗闇の中で手探りで何かを探しているような感覚だ。

たとえば、カタパルトでは、検索ランキングの下位に埋もれてしまわないように、ブランドをサポートすることに力を注いでいる。オンラインショッピングの55%がAmazonでの検索からはじまっていることをふまえ、カタパルトでは、売り上げやマーケティング、メディアやSEO(Search Engine Optimization:検索エンジンの最適化)を包括する、コーエン氏いわく「難解な」Amazonのアルゴリズムの解析を試みている。初期の検索(エンジン)のように、「検索ランキングの決定においては、Amazonのプラットフォームでメディアに費やした時間が影響しているのではないかと考えている」と、コーエン氏は語る。「ブランドが用いる画像や、在庫管理の手法なども、そのほかの要素として考えられる。だが、これはあくまで我々の予想であり、実際のところはわからない。Amazonは教えてはくれないのだ」。

深まるエージェンシーとの関係

一方Amazonは、エージェンシーに直接売り込みをかけはじめており、Amazonとの取引を促す際に、「Amazonを訪れた12人のうち、11人が製品を買っています」というような露骨なセールストークを使っているという。また、Amazonはエージェンシーに一定の権限を与えており、カタパルトは、数年前にAmazonの広告ガイドラインの範囲内でクリエイティブを構築できる「トラステッド・クリエイティブ・パートナー(Trusted Creative Partners)」の称号を与えられた。

また、複数の経営者によると、Amazonはエージェンシーに対してAMGを推奨する動きを見せはじめているという。

ここで常につきまとうのがデータだ。小売店は、Amazonが特に小売や直接販売における顧客データを握って離さないことに対してイライラしているが、エージェンシーもより多くのデータを必要としている。「広告主にとってより使いやすいツールと良いサポートを期待しているが、それ以前に、顧客のニーズを常に示してくれる環境や状況で成し遂げられて欲しい」と、コーチェナッシュ氏は語る。

「これは初期のFacebookに酷似している」と、Amazonが提供するサービスの導入を検討しはじめているエージェンシー、バーバリアン(Barbarian)でCEOを務めるキャシー・バトラー氏は語る。「いまのところ、これはメディアの機会であり、企業戦略を見据えて、私たちがここに踏み込むかどうかの選択肢があると捉えている」。

Shareen Pathak (原文 / 訳:Conyac






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