スマホ、ゲーム、IoT…「使う人」から「つくる人」へ、変わる教育【子どもの未来を拓くプログラミング教育@沖縄(3)】 – 琉球新報

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 2020年に小学校で始まるプログラミング教育とは、どんなものなのでしょうか?

 前回の「ロボットやAIに負けない力って?」では、私たちの生活がテクノロジーの発展によって豊かになった一方、現在ある仕事の多くがAIやロボットに代替・淘汰される可能性があるとお伝えしました。

 子どもたちが未来を切り拓くためには、スマートフォンやゲームをただ使うだけではなく、AIやIoTなどテクノロジーの「作り手」「使い手」になることが求められるのです。今回はプログラミング教育の内容や目的、そして、私たち大人が子どもたちに伝えるべき教育について考えたいと思います。


プログラミング教育の必修化で変わる授業


 2016年4月、安部首相がプログラミング教育の必修化について述べ、2020年からの次期学習指導要領でプログラミング教育に関する内容が盛り込まれました。



首相官邸のHPより。「2016年4月12日未来投資に向けた官民対話」で発言する安倍首相

“日本の若者には、 第四次産業革命 の時代を生き抜き、主導していってほしい。
このため、初等中等教育からプログラミング教育を必修化します。”

引用:首相官邸「産業競争力会議」



 学習指導要領とは、学校教育法等に基づき、小学校・中学校・高等学校等の各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めているものです。現在の学習指導要領ではプログラミングに関する内容は多くありませんでした。しかし、次期学習指導要領では、「第四次産業革命」に伴う急激な社会的変化の中で、子どもたちが未来の創り手となるために必要な資質・能力を備えられるよう、プログラミングに関する内容が取り入れられることになりました。

 主な変化は以下の通りです。



◇高校では…

現在

選択制
コンピューター、情報通信ネットワーク、情報の管理と問題解決などを学ぶ
履修率は2割程度

2020年以降

共通必修科目
プログラミング、ネットワーク、データベースの基礎等について学ぶ
全員が履修


◇中学では…

現在

情報に関する技術としてプログラムによる計測・制御を学ぶ
履修時間は3年間で10時間未満の学校が大半

2020年以降

上記の内容に加え、ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングが追加される
(Webサービスを作ることなどが予想される)


◇小学校では…

現在

プログラミングに関する授業はゼロ

2020年以降

コンピューターに意図した処理を行うように指示することを体感する
(新しい教科を設けるのではなく、算数・理科・総合的な学習など、今ある各教科の中で、その特質に応じて学ぶ)



必要なのは「プログラミング的思考」


 小学校で始まるプログラミング教育とは、〝コンピューターに意図した処理を行うよう指示することができる〟ということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」を育むことです。

 「プログラミング的思考」というのは、物事を論理的に考える思考力や問題を解決するための方法や手順(アルゴリズム)を考えていく力です。

 例えば、自分がコンピュータに意図する動きを実現するためには、どのように命令を与えていく必要があるのか。また、意図した動きにならなかった場合、何が原因で、解決するためにはどのように命令を与えないといけないのか。それを試行錯誤しながら自分の力で導き出す力を養う必要があります。


「使う側」から「つくる側」へ


 一昔前まで〝プログラミングを学ぶ〟というのは、パソコンやコンピューターが好きな人や、将来プログラマーやIT系の会社に就職したい人が学ぶもの、というイメージがありました。

 そのため、「小学校でのプログラミング教育必修化」と聞くと、「国民全員がプログラミングをできるようになり、全員がシステムエンジニアになれる力を培う」―と誤解されがちですが、先述したように、年齢に応じてプログラミング教育で学ぶ幅や深さ、そして目的は異なります。

 特に、小学校段階でのプログラミング教育は「プログラミング的思考」を養うものであり、プログラマーを育成したり、プログラム言語を用いた作業(コーディング)を覚えることが目的ではありません。子どもたちに未来を思い描いてもらいながら、課題解決の手段としてテクノロジーの有用性を理解させることが目的なのです。

 プログラミング教育を初めて学ぶ小学生には、「コンピューターってすごい!」「プログラミングって面白い!」ということや、プログラミング(コンピューターを操ること)によってできること、その可能性やスケールの大きさを知ってもらいたいです。そして、ITを「消費する側」に留まるのではなく、自らもITを駆使して「創造する側」になることができるということを体験・学習してもらう必要があります。

 そのような体験・学習を続けていくことで、テクノロジーを〝武器〟として自らのアイデアを実現し、社会に能動的に働きかけられる人材になることができるのではないでしょうか。

夜明け目前、動き始めている地方自治体の取り組み


 2020年、学習指導要領が改訂されることで、日本の教育は大きく変わります。しかし、教える教員の育成や学ぶ環境の整備など、実施に向けた課題はまだまだ多く残されています。

 そのような中、全国各地でプログラミング教育の実証授業を始める地方自治体も出てきました。

 必修化を目前に、日本全国ではどのようにプログラミング教育が取り組まれているのかを、次回にご紹介します。
 


(次回は8月25日に公開。毎月第2、4金曜日に公開します)






― 執筆者プロフィール ―


Tech Kids School 沖縄エリア統括責任者 中山拓也(なかやまたくや)

沖縄県糸満市出身。自身も子どもを持つ2児の父親。沖縄の子どもたちを取巻く様々な格差からくる成長の機会損失が多い現状を変えたいと思っている。未来を担う子ども達に「無限の可能性と希望」を伝えるべく奮闘中。

小学生のためのプログラミングスクール「Tech Kids School」を運営しながら、未来を生き抜くために必要とされるプログラミング教育の提唱や、家庭環境に関係なく子どもたちへ学習の機会を創出するため、沖縄県内の企業や大学と連携した取組みも行っている。

▼Tech Kids Schoolの詳細はこちら
http://techkidscamp.jp/school/






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