民法改正で準委任の開発でも「成果の完成」が必要なケースが(民法改正ショック)

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 今回は「委任(準委任)」への影響について解説する。システム開発を工程別に契約した場合、要件定義工程などで多用される契約が「準委任」である。前回解説した通り、成果物の有無にかかわらず、業務の実施に対して報酬を支払う契約形態だ。

 準委任契約の代表例は、医師の診療や手術、塾の講義などの契約である。医師の場合、診療や手術を引き受けても「病気を完治させる」ことや「手術を成功させる」という義務は負わない。医療過誤に当たる場合を除けば、病気を完治させたり手術を成功できなくても、医師は債務不履行責任を負わない。塾の場合も、講義をするのであって、「生徒を合格させる」義務は負っていない。この考え方をシステム開発に当てはめたものが、要件定義工程などでの準委任契約である。

 しかし、「契約形態を準委任としておけば、要件定義書をまとめ上げられなくとも、ITベンダーは債務不履行責任を負わず、実働した工数に見合う委託料を請求できる」という誤解をするITベンダーが後を絶たない。確かに民法の準委任の条文には「成果物の完成義務」はない。だが、準委任には「成果に対して報酬を支払う」パターンも含まれている。

 現行法でも成果に対して報酬を支払う準委任契約の締結はできる。しかし、民法の条文で明確化されていないため、誤解が生じやすい。そこで今回の改正では、準委任における報酬の支払いについて、二つのパターンが明記されるようになった。一つは事務処理の労務に対して報酬を支払う「履行割合型」、もう一つが事務処理の結果として達成された成果に対して報酬が支払われる「成果完成型」だ(図1)。

図1 準委任における履行割合型と成果完成型の違い

準委任契約での支払いに対する考え方

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準委任でも成果に対して支払える

 成果完成型に関する規定は、改正法の「第648条の2」で追加される(図2)。「委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引き渡しを要するときは、報酬は、その成果と引き替えに支払わなければならない」という規定である。




図2 準委任契約での成果報酬に関する条文

準委任契約でも成果に対する支払いを認めていることを明示

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