B2Bマーケティングに近道なし 時代の変遷に応える立ち位置のヒント

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ASCII STARTUP ACADEMY
第19回

スタートアップの成長曲線からウェブマーケティングの未来まで語られた特別セミナー

2017年06月16日 09時00分更新

文● 加藤肇 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影●曽根田元

 2017年4月27日に開催された、ASCII STARTUPのセミナーイベント「Startup Professional 実践スタートアップに学ぶこれからのウェブマーケティング~分析、アプリ、ユーザーコミュニケーション~」。スタートアップ企業だけでなく多くの企業にとっても重要な“ウェブマーケティング”について、Repro株式会社の平田祐介・代表取締役、株式会社プレイドの倉橋健太・代表取締役、株式会社デジタルステージの洪泰和・開発プロジェクトマネージャーという3名の講師がプレゼンやトークセッションを展開した。盛況のうちに終了したイベントの模様をお届けする。

左から、司会のガチ鈴木、デジタルステージ 洪泰和氏、プレイド 倉橋健太氏、Repro 平田祐介氏

B2Bベンチャー必見のスタートアップの成長曲線

 第1部は、各講師によるプレゼンタイム。トップバッターとして登壇したのは、モバイルアプリのアナリティクス&マーケティングツール『Repro』を事業者向けに提供するReproの平田氏だ。

 簡単な自己紹介と自社サービスの紹介のあと、プレゼンの内容について「シード期のスタートアップ創業者向けで、B2B寄りの話にします」と切り出した平田氏。冒頭で「B2Bのマーケティングに近道はない!」という結論を提示し、「Reproの創業は2014年4月。シード期にはピッチコンテストにできるだけ出場するなどしてひたすら知名度を上げ、その後のシリーズAではサービスの質をブラッシュアップ、シリーズBになって非IT企業にもアプローチを開始した。当初から愚直に、地道に蒔き続けてきた種が現在になってやっと花咲いている」と自社の現況を分析した。

 その上で、自身が考える「B2Bスタートアップの成長曲線」というグラフを紹介。これは、シード期からシリーズBまではプロダクトの“認知”のほうが“提供価値”を上回るというもの。創業から約3年が経過した現在のReproは、両方の曲線がようやく交わって上下が逆転したばかりのところだと説明した。自身の経験をベースに繰り広げられる説得力ある解説には、イベント参加者たちも身を乗り出して聞き入っていた。

B2Bベンチャー必見のスタートアップの成長曲線

B2Bマーケティングで『良かった』3つのこと

 「平田さんのお話には非常に共感を覚えます。僕がお伝えしたい内容もほとんど同じですね」という言葉でプレゼンを開始したのはプレイドの倉橋氏だ。プレイドは、サイト来訪者の特徴や行動をリアルタイム解析し、個々に合わせた“ウェブ接客”を可能にするプラットフォーム『KARTE』をサイト運営企業に提供している。倉橋氏が抱く「B2Bのマーケティングは突き詰めると似通ってくる」という実感が、冒頭の言葉につながったようだ。

 そのうえで、「僕たちは、一般的に定石とされるコンテンツマーケティングや戦略広報活動はこれまでやれていない。今日は、自分たちがやって『良かった』と感じた3つのことを紹介します」と続けた倉橋氏。

 最初に挙げたのは“プロダクトにマーケティングが溶け込んでいる”こと。「良いプロダクトは、お客さんがお客さんを呼んでくれる。UIやUXにこだわった良いプロダクトは、それ自体がマーケティングになりうる」と説明した。

 次に挙げたのは“社内起点で考える”ことだ。「お客さんの声にヒントはあるが答えはない。“ドッグフーディング”(=自分たちのプロダクトを自分たちで使うこと)を進めて、スピード感のあるサービス改善を社内から実現できれば、結果的にそれがマーケティングにつながる」と倉橋氏。

 そして最後の“コンセプトを創る”では、「僕たちは、ウェブ接客という言葉を自分たちで考え出し、コンセプトを定め、リリースなどを通じて発信し定着させてきた。その結果、マーケットを創り出すことに成功し、自分たちが一番手であるべきというモチベーションを維持できると思う」という実例を挙げてプレゼンを締めくくった。

マーケット変容の中でツールの立ち位置を変えるには?

 最後に登壇したのは、ウェブ開発ツール『BiNDシリーズ』を開発・運営するデジタルステージの洪氏だ。

 デジタルステージは1998年の創業、BiNDシリーズは延べ17万ユーザーが使用し10年の歴史を持つ。そこで、この10年のインターネットの発展と自社のマーケティング活動の歴史がどのように関連してきたか、という視点でプレゼンを展開した。

 『BiND』の発売当初のマーケティングでは、作成するウェブサイトのデザイン性の高さと簡単に作れる操作性をアピールしていたという。しかし、サービスを継続する中で、TwitterやFacebookなどのSNSや『Jimdo』や『WiX』といったクラウドサービスの登場によりマーケットが変容してしまう。自社プロダクトの特徴が当たり前になってしまったのだ。

 そこでデジタルステージは、BiNDをクラウド化しローカルアプリとシームレスに同期してどちらも使える環境を実現させるほか、これまで提供してきた機能を廃止するなどの取り組みを始める。また同時に、自分たちのポジショニングを再検討することも開始。その結果、あくまでスモールビジネス向けのツールとして割り切ることで、自分たちが持つ強みをすべて統合することにつながった。

ウェブ制作の新しいスタイルを模索したBiND

 現在は、OEM提供する中で新たな課題が出てきており、BiNDを“ウェブ制作をしなくてよいツール”へと移行させている最中で、サイト自動生成機能を新たに搭載している。マーケットの変容によりBiNDもミッションを進化させてきた歴史を駆け足で振り返った洪氏は、「この10年だけを見ても、インターネットは大きな変遷を見せている。自社プロダクトを進化させるため、トレンドを掴むアンテナが重要になる」とまとめていた。



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