ヤマトが配達負担軽減でAI活用も現場はブーイングの嵐

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セールスドライバーの高齢化が進んでおり、負担軽減は喫緊の課題だ。一方で新たな人材採用・育成にも迫られている Photo:Rodrigo Reyes Marin/アフロ

「頭で考えなくても配達できるよう開発したのだろうけど、ただ機械的に回ればいいわけじゃない」とぼやくのは、宅配業界最大手、ヤマト運輸のセールスドライバー。同社では配達業務に使うポータブルポス(細長い携帯端末)を新型タブレットに移行するか検討しており、4月から一部の支店・営業所で試験運用を始めた。ところが、現場からはブーイングの嵐だという。どういうことか。

 ヤマトでは定期的に「NEKOシステム」と呼ばれる基幹システムを刷新し、それに伴い新しい機器やソフトを導入してきた。目的は業務効率化と顧客の利便性向上。2010年から始まった現行の第7世代では、例えば、配達先で電子マネーでの支払いが可能になったり、「クロネコメンバーズ」(無料登録制サービス)会員の客に配達予定を事前にメールすることで、客が自由に受け取り日時を変更できるようになったりした。

 今度の第8世代では、喫緊の課題であるドライバーの業務負担を減らすため、人工知能(AI)の活用が目玉となっている。具体的には、新型タブレットで配達場所や指定時間など幾つかの条件を設定すると、最適ルートをナビゲートする機能がある。また、配達履歴をAIが分析することで、効率的な配達順序を示すという。

 しかしこれは「新人には役に立つかもしれないが、半年も経験を積んだドライバーには、無用の長物になりそうだ」(ヤマト社員)。

 なぜならドライバーは荷物の大小や天候、担当地域の住宅事情やなじみ客の在宅時間など、さまざまな条件を総合的に判断して配達順序を決めている。例えば、宅配ロッカーがすぐ満杯になってしまう集合住宅には朝一番に行くし、なじみの商店へは客足が引く時間帯を狙って訪ね、接客しながら集荷も行う。「効率性だけでなく、気持ちよい接客をする。両方かなえて運ぶのがヤマトのセールスドライバーの使命だったはず」(同)。

逆に負担が増えると懸念

 何より現行の携帯端末では片手操作だったのが、タブレットでは両手操作になり、顧客情報を1件ずつ更新、入力する必要がある。

 そして第7世代での携行品は三つだったのが、今後はタブレットの他にカード決済機やスキャナーも加わり五つに増えそうなのだ。「大量の荷物を届けるため分刻みで動いているのに、逆に手間がかかる」「欲しいのは最新機能よりも使いやすさ。働き方改革の最中だというのに、ドライバーの負担を増やしてどうするのか」など戸惑う声が後を絶たないという。

 ネット通販の荷物が増える一方、ドライバー不足の解消は容易ではない。ヤマトは現役社員の負担軽減と、今後の人材獲得・育成に迫られている。第8世代の開発は当初計画よりも遅れており、AIが宅配現場の救世主になるのか目が離せない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら



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