道路を舗装する匠の技、AIが習得し人材不足解消へ(誕生!インフラ×AI 業界地図)

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 ドドドドドド――。地面を押し固める振動ローラーの轟音が鳴り響く。振動ローラーとは、道路の整備や盛り土などの工事で使われる建設機械。車体前方の鉄製のローラーが小刻みに振動して地面を押し固める。

写真●大成建設が無人運転を実現しようとしている振動ローラー

(出所:大成建設)

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 振動ローラーを使った舗装の風景を目にしたことのある方は、少なくないはずだ。ただし、この振動ローラーの操作に、経験豊富なベテランの技が求められることはあまり知られていない。運転者は感覚を研ぎ澄まし、地面の微妙な凹凸を感じながら、操作レバーやハンドルを調整し、地面をきれいに舗装している。このためには相応の経験が必要となる。

 不慣れな人間が運転すると、同じ経路を何度も往来。路面全体を踏み固めることができず、わずかなすき間が生じてしまうこともある。

 「今、振動ローラーを上手に操れる人材が徐々に減りつつある」。大成建設の片山三郎技術センター先進技術開発部課長代理はこう話す。労働者不足は、振動ローラーの場面でも起きているわけだ。

写真●振動ローラーを上手く運転するには匠の技が必要だ

(出所:大成建設)

 この問題を解決するため、大成建設が目を付けたのがAI(人工知能)だ。振動ローラーの運転をAIに任せてしまおうという試みである。大成建設の今石尚技術センター生産技術開発部長は、「振動ローラーの運転に必要とされる匠の技をAIに覚えこませて、今後の課題となる人材不足を解消したい」と言う。

深層学習でどんどんうまくなる

 大成建設は、AIを搭載した振動ローラーを開発中で、2019年度から道路工事の現場で実証実験を開始する計画。2025年度内にも一部の建設現場で本格利用を始め、順次実用化していく予定だ。

 AI搭載の振動ローラーは、走行中に作業員などと接触するのを防ぐ「安全停止システム」も備えている。さらに、ベテランの目や耳の代わりとなるセンサーを取り付ける。

 AIを搭載した振動ローラーは最初から無人で運転することはできない。学習させる必要がある。

 まずはベテランの運転者がAI搭載の振動ローラーに乗車し、地面をローラーで圧し固める。AIは深層学習(ディープラーニング)の技術を使って、その“ハンドルさばき”を操縦履歴データとして収集・分析し、最適な操作方法を学ぶ。この作業を繰り返すことで、「AIの運転技術をベテランの技に近づけていく」(大成建設の片山課長代理)。

 20センチメートル――。AIを搭載した無人型の振動ローラーの実用化では、この数字が鍵を握る。人間が振動ローラーを運転する場合、既に押し固めた道筋の20センチメートルずつ重ねるように、隣の道筋を舗装するのが一般的だという。こうして、押し固められない隙間が生じないようにしている。つまりAIも、重なり20センチメートルで押し固めるベテランのスキルを習得しないと、実用することが難しいわけだ。

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