なぜこうも遅れて出てきたのか?AzureのMySQL開発マネージャーに質問

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「Azure Database for MySQL/PostgreSQL」の競合優位性とは

2017年08月09日 12時30分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

 マイクロソフトは2017年の年次開発者会議Build 2017で、オープンソースのリレーショナルデータベースMySQLとPostgreSQLをフルマネージドのPaaSで提供する「Azure Database for MySQL」および「Azure Database for PostgreSQL」を発表した。現在、東日本/西日本リージョンを含むAzureの11リージョンでプレビューリリースされている。

 AWSの「Amazon RDS for MySQL/PostgreSQL」や、Google Cloud Platformの「Cloud SQL」から遅れての登場となったAzure PaaSのMySQL/PostgreSQL。開発背景と競合優位性について、Azure Database for MySQL/PostgreSQLの開発マネージャーであるJason Anderson氏に話を聞いた(聞き手、アスキー羽野三千世)。

米マイクロソフトでAzure Database for MySQL/PostgreSQLの開発マネージャーを務めるJason Anderson氏

— 今なぜ、フルマネージドのMySQL、PostgreSQLを提供するのでしょうか。

 まず、なぜMySQLとPostgreSQLなのかという点について。これは、はっきりと「AzureにMySQLとPostgreSQLのPaaSがほしい」というユーザーの声が上がっていたからです。オープンソースを含めて他の種類のデータベースがほしいという声があれば、今後追加することもあるでしょう。

 フルマネージドで提供する理由は、データベース管理者というよりはデベロッパーのニーズによるものです。デベロッパーが今使っているツール、言語、フレームワークの互換性を100%担保するために、Azure Database for MySQL/PostgreSQLでは、MySQLとPostgreSQLともにコミュニティエディションを採用しています。

— PaaSのMySQL/PostgreSQLのユーザーニーズはかなり以前からあったはずですが、リリースがAmazon RDSなどの競合クラウドより大幅に遅れたのはなぜでしょうか。

 マイクロソフトはパートナーを重視する企業です。Azure上のMySQLデータベースのPaaSについても、これまではパートナーに提供してもらうという策を講じてきました。5年以上前から、サードパーティーのMySQLデータベース「ClearDB」をマネージドサービスとしてAzureから提供しています。ただしユーザーからは、ClearDBよりもコスト競争力のあるものがほしい、より大規模に使えるものがほしいという要望が強かった。

 加えて、中国での成功(クラウドデータベースはオープンソースしか利用を認めないという中国の国策を受けて、マイクロソフトは2015年から中国リージョンのみでMySQLのPaaSを提供してきた。中国で900カスタマー以上に利用されている)もありました。そこで本社側で市場を調査してみたところ、MySQLのPaaS、さらにはPostgreSQLのPaaSに急成長の可能性があることに気づき、今回、自社サービスとして提供することになりました。

 ちなみに、中国リージョンで提供しているMySQLのPaaSは、今回発表したAzure Database for MySQL/PostgreSQLとはアーキテクチャが異なる別のサービスです。中国リージョンのサービスは2018年に新サービスのほうに切り替える予定です。

— MySQL/PostgreSQLのPaaSを“Azureから”提供することの価値提案を教えてください。

 Azure Database for MySQL/PostgreSQLは、これまで9年間使われてきた実績のあるAzure SQL Databaseと共通のAzure Service Fabric(マイクロサービスプラットフォーム)上に構築されています。

 すなわち、Azure SQL Databaseと同じ高可用性(SLA99.99%、データのレプリカを同一リージョン内に3つ持つ)、セキュリティ(全データの暗号化)、バックアップ/リストア機能、アクセスコントロール機能(サーバーとアプリ間のSSL暗号化など)の機能が、標準で内蔵されています。

Azure Database for MySQL/PostgreSQLはAzure SQL Databaseと同じ基盤上に構築されている

 AWSへの優位性としては、バックアップ、ポイントリストアを一貫して無償(追加料金なしで)提供する点が挙げられます。Azure Database for MySQL/PostgreSQLでは、最初のバックアップのあと、5分間隔でスナップショットを自動作成しており、サーバーのリストボタンを押すだけで35日前までの任意のポイントにリストア可能です。ユーザーがデータをバックアップする必要はなく、バックアップのためのストレージの料金は請求されません。

バックアップ、ポイントリストアの機能を標準実装する

— MySQL/PostgreSQLのバージョンアップへの対応の方針を教えてください。

 MySQL、PostgreSQLともに、メジャーバージョンアップが実施されてから60日以内に提供します(最新バージョンをNとして、N-2のバージョンまで常にサポート)。マイナーバージョンアップについては、パッチ適用は2週間以内に、脆弱性対応についてはできる限り早いタイミングで実施します。

 作成済みのインスタンスのMySQL/PostgreSQLのアップグレードには現行では対応しておらず、強制的にアップグレードすることはありません。

— Azure Database for MySQL/PostgreSQLのターゲットユーザーは誰でしょうか。また、Azure SQL Databaseとの使い分けはどうなるのでしょうか。

 シンプルに、これまでゲームやCMSなどのバックエンドとしてMySQL、PostgreSQLを使ってきたユーザーがターゲットです。コミュニティエディションをベースにしているのは、このようなデベロッパーにとって馴染みがあるから。慣れ親しんだMySQL、PostgreSQLをAzureで拡張性を持った形で使っていただきたいです。

 Azure SQL DatabaseやオンプレミスのSQL Serverとの使い分けはユーザーの選択です。すでにMySQL、PostgreSQLに投資をしているユーザーはAzure Database for MySQL/PostgreSQLを、オンプレミスのSQL ServerをAzureに拡張したいユーザーはAzure SQL Databaseを選択してください。

— 最後に、GAまでのロードマップを教えてください。

 GA(一般提供)は2017年末を予定しています。それまでに、Azureの仮想ネットワークとの統合、Read Replicaの追加、GEOレプリケーションのシナリオ追加といった機能拡張を実施していきます。

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