顧客にピークを避けてもらう、くら寿司と東急電鉄の大きな成果(大型IT投資は時代遅れ)

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 ピークは企業だけでなく顧客にも負担を強いる。ピークを避けてもらうための働きかけが有効だ。少ないインセンティブで大きな効果を生んだ事例も出てきた。

[東京急行電鉄]前・横・後に乗客を誘導

 日本におけるピークの最たるものは都市部の通勤ラッシュだ。神奈川県から渋谷駅に向かう東京急行電鉄田園都市線の混雑率は184%。午前7時50分からの1時間に7万4261人が渋谷駅に到着する混雑ぶりは全国屈指である。

 「大規模な改良工事はすぐには難しいが、手を打たなければ混雑はひどくなる一方だ」。東急の梶谷俊夫鉄事業本部事業戦略部企画課課長補佐はこう話す。同社は設備増強に比べるとはるかに少ない費用で、様々な施策を打ち出し、混雑率を2~3ポイント抑制しているという。

 田園都市線の混雑率は以前198%に達していた。渋谷駅を迂回して都心部に通勤できるよう、15年以上と約1400億円投じて大井町線の設備を増強し、田園都市線の混雑率は一時181%まで下がった。だが、沿線開発の進行などで再び悪化傾向にある。

 時差通勤の呼びかけは他の鉄道会社でも珍しくないが、東急は徹底している。ピークを前・最中・後に分け、ITを活用して利用者にきめ細かくピーク回避を働きかけているのだ。

東京急行電鉄の田園都市線におけるピークカット施策

通勤ラッシュの前・横・後に人を動かす(写真:Getty Images)

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早起きは1億2000万円分の得

 「ピーク前」対策の代表格は「早起き応援キャンペーン」。形を変えながら10年ほど続いている。2017年10月から12月まで実施中のキャンペーンでは交通系ICカード「Suica」「PASMO」に東急グループの買い物などに使えるポイントを付与している。

 田園都市線の各駅の改札を平日午前7時(一部は午前7時20分)より前に通過するだけで、1日1回50円分のポイントを付ける施策だ。時間内に改札を通ったICカード記録を抽出し、1週間分のポイントを翌週半ばまでに付与する。約1万人が利用し、「ピーク時の混雑率を数ポイント押し下げた効果があった」(梶谷課長補佐)。

 例えば二子玉川駅から渋谷駅までの普通運賃は195円なので、50円分のポイントは小さくない。年間240日の平日に1万人が毎日利用すると東急の負担額は合計で1億2000万円。一定の費用は掛かるが、1000億円単位の設備工事の比ではない。






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