セキュリティ人材の末路–パブリッククラウドで窮地に立つITベンダー

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 本連載「企業セキュリティの歩き方」では、セキュリティ業界を取り巻く現状や課題、問題点をひもときながら、サイバーセキュリティを向上させていくための視点やヒントを提示する。

本格的なクラウドコンピューティングの普及

 読者の皆さんであれば、「クラウドコンピューティング(以下クラウド)」は、常識と言っていいだろう。このクラウド(雲)という言葉は、ネットワーク構成図でインターネットを雲の絵として表現したことに由来している。つまり、そもそもクラウドとは、インターネットそのものだったとも言えるだろう。

 このクラウドのイメージは、現在でも基本的には変わっていない。ユーザーから見て、インターネットの向こう側にあるクラウド事業者の巨大なシステムリソースの中から必要な分だけをサービスとして利用できる仕組みだ。クラウド上のサービスが提供されることによって、ITシステムはこれまでのオンプレミスにおける設計や構築にまつわる技術がそれほど要らなくなり、ハードウェアの調達なども不要になったことで、企画からサービスインまでの時間が大幅に短くなった。それによって、世界中のインターネット上のサービスは飛躍的に進歩し、ユーザーに多くのメリットをもたらしてきた。

日本のベンダーにとって特需となった初期のクラウド

 このような本格的に普及しつつあるクラウドを日本のベンダーの立場で見ていきたい。初期のクラウドはベンダーにとって、それなりにビジネスとして成立し得るものであった。なぜなら、初期の導入事例のほとんどは「プライベートクラウド」と呼ばれるものだったからだ。

 一口にクラウドと言っても、プライベートクラウドは、ITシステムが企業のサーバルームからデータセンターに移動したに過ぎないものも多く、それまでも一般に提供されていたデータセンター事業と大きな違いはなかった。そもそも、クラウドという言葉が登場する前から企業のビル内にサーバを設置することが難しくなっていたのだ。

 なぜなら、CPUの集積技術が向上した結果、サーバは非常に多くの電力を消費し、大きな熱量を発する物体になってしまった。つまり、サーバの稼働に必要な電力とそれを冷やす冷房能力が通常のオフィスビルの設備ではまかないきれない状態になったわけだ。筆者の知るケースだと、42Uのフルサイズサーバラックが1本であれば、それほど問題は起こらない。それが増設によって2本になり、その2本のサーバラックの利用割合が70%を超えると電源設備が悲鳴を上げ始めることが多かった。

 その結果、ITベンダーは2000年代半ば頃からユーザー企業がサーバやネットワーク機器をリプレースするタイミングで、データセンターへサーバを移設する案件を数多く実施した。また、それに伴って特に東京都およびその近郊で、データセンターの新規建設なども盛んに行われた。ITベンダーはこれらによって大いに潤い、初期のクラウドに関する案件のほとんどは、ベンダーにとって非常にありがたいビジネスをもたらしてくれるものだったのだ。






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